セレモニー、演出の妙技

靴を購入する時間を特別な瞬間にしたいという思いから、メゾンは靴との出会いを儀式のような完全なセレモニーと考え、傑出したエレガンスをもつシルエットと快適さにフォーカスしています。このアール・ドゥ・ヴィーヴルの観点から1992年に設立されたクラブ・スワンには、同じ情熱を分ち合う靴の愛好家たちが集まります。

壮麗なる靴の舞台、セレモニー

ベルルッティで靴を購入するという体験は、まるで儀式のようです。すべてはステージの上で始まります。本場のクラブチェアに座り、完璧な姿勢でベルルッティの作品を試着し、その美しさを鑑賞しながら、お客様は特別なセレモニーを体験します。履いていた靴を脱ぎ、その姿が見えなくなると、新しい理想の一足への期待が膨らみます。立った状態で足のチェックが行われます。長年にわたって培われた専門知識によって、足の幅、土踏まず、甲の高さを分析。ここではサイズを測るのではなく、足のフォルムを確認します。「靴がお客様を選ぶのです」とオルガ・ベルルッティは語っていました。

モデルを選んだ後、お客様には〈オマーン〉ミュールをお渡しし、快適な状態でゆっくりお待ちいただきます。また、ブティック内を自由にご覧いただけます。選ばれた靴が、貴重なオブジェのように恭しく運ばれます。じっくりとご覧いただけるよう、つま先を前にして置かれます。

ベルルッティのアドバイザーは靴べらを使い、完璧な所作でエレガントにお客様に靴を履かせます。続いて、鏡の前でチェックをし、レザー製のステージの上を歩いていただくことで、モデルの快適さとスタイルを実感していただきます。

« C'est le soulier qui vous choisit »

Olga Berluti

失われた時を華麗に取り戻す、スワン・クラブ

1992年に設立されたスワン・クラブは、マルセル・プルーストの代表作『失われた時を求めて』に登場する、繊細で洗練された人物、シャルル・スワンにちなんで名付けられました。シャルル・スワンのように、クラブのメンバーたちは、美と会話を愉しむ、時代を超越したアール・ドゥ・ヴィーヴルを育んでいます。

約100人の愛好家が集うメンバー限定のサークルは年に1、2回、ベルルッティのお客様に特別な場所でユニークなひとときを提供しています。そこでは、靴を真の欲望の対象ととらえ、かつてウォッカでブーツを磨いていたロシアの将校たちのように、氷水やシャンパンで靴磨きの儀式を行い、その美しさを称えます。パティーヌ、色調、輝きは、同じ情熱を分ち合う通人、豊富な知識を持つ愛好家、美意識の高い人々の議論のテーマとなるのです。